映画-Movie Walker > 作品を探す > 婉という女

原作は「一九六〇年度毎日出版文化賞」「第一三回野間文芸賞」を受賞した大原富枝の同名小説。脚本は「飢餓海峡」の鈴木尚之。監督は「橋のない川 第二部(1970)」の今井正。撮影も同作の中尾俊一郎がそれぞれ担当。

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土佐藩家老野中兼山が失脚して死ぬと、藩政を握った政敵たちは、当時わずか四歳であった婉たち兼山の遺族を宿毛へ閉じ込めた。外界と完全に接触を断たれた婉は、せまい獄舎をそれ程苦しいとは思わなかったが、娘として成熟するにつれ、獄舎はせまくなり、自由ではなくなってきた。異腹の兄弟とはいえ、せまい一つの世界での男であり女である。「他人に会いたい!」くずれるような婉を学問が支えた。婉が二六歳になった時、奇蹟が訪れた。亡き父兼山を敬慕する青年学者谷秦山が幽居を訪ねてきたのである。獄吏に遮られ対面こそできなかったが、許された年に一、二度のそれも学問上の質疑に限られた秦山との文通は、婉の中の女の生命の炎を烈しく燃やした。そして四〇年ぶりに触れる新しい世界、岩石をくだき、白い飛沫をあげる川の流れ……。互の存在を知りあって実に二〇年ぶりの初対面。別れしな、婉の手をつつむように握った秦山の手のぬくもりは、いつまでも消えることはなかった。だが外界も婉ののぞんだような自由な世界ではなかった。世間の好奇な眼があり、妻子ある秦山と会う事は思うにまかせず、いぜんとして文通でしか心は通じあえなかった。世間という漠としてとらえがたい障害、しかも秦山はその力に抗じがたいものを見、婉から遠ざかろうとしている。秦山に想いを寄せる婉の気持とは逆に、秦山は婉に婚姻をすすめた。やがて思いがけぬ悲運が婉を見舞った。土佐藩の継続問題がもとで、秦山が幽居を命ぜられたのである。婉と秦山の立場が逆転した。「幽居にはじめて訪れたただ一人の人。こんどは私が会わずば気がすまぬ」。婉は駕篭を駆った。途中城代、山内主馬の行列とぶつかった。婉は侍たちをキッと見上げた。「元家老、兼山の娘、婉、邪魔だちは許しませぬぞ!」。婉の体内に政治へのすさまじい抵抗がみなぎっていた。

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作品データ

製作年 1971年
製作国 日本
配給 その他
上映時間 123
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スタッフ

キャスト

野中婉 岩下志麻
野中清七 江原真二郎
野中欽六 河原崎長一郎
野中希四郎 緒形拳
野中貞四郎 中村賀津雄
野中米 田代美恵子
野中寛 楠侑子
野中将 長山藍子
きさ 北林谷栄
かち 佐々木すみ江
のぶ 伊藤牧子
谷秦山 山本学
岡本弾七 北大路欣也
井口九郎兵衛 加藤嘉
井口長左衛門 織本順吉
みつ 岸田今日子
老番士 金井大
番士長 陶隆
赦免状の使者 岡野耕作
高知城の使者 南祐輔
供侍 蔵一彦
幼年時代の清七 針生真一
幼年時代の欽六 長張卓実
幼年時代の希四郎 桜田洋之助
幼年時代の貞四郎 三田隆一
幼年時代の貞四郎 吉野恒正
幼年時代の寛 桐ケ谷かおり
幼年時代の婉 おかのあゆみ
幼年時代の将 鬼沢京子
幼年時代のみつの子 佐藤健太
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