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精神病院に勤める青年医師と影のある美貌の患者との愛を描く。原作は五木寛之の同名小説。脚本は「青春の構図」の石森史郎、監督は「竹久夢二物語 恋する」の斎藤耕一、撮影は「さらば夏の光よ」の坂本典隆がそれぞれ担当。

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横浜にある精神科の和親会病院は、現代のシュバイツァーと呼ばれる高見沢院長の良心的な経営のため建物も老朽化し、医師も薄給のためなり手がなかった。そこへ、青年医・竜野努が赴任して来た。だが、その着任ぶりは、およそ医師らしくなく、日本に一台しかないという愛車BSAゴールドスターに乗って爆音をたてながらやって来たのだ。医師も看護婦も患者も度胆を抜かれたなかで、その非常識をたしなめたのは副院長の唐木道子だったが、唐木はこの青年に、今まで辞めていった医師たちと違った何かを感じた。院長は妻を亡くし、高校生の娘ナツキと二人で暮しており、努には自宅の離れを宿舎に提供した。引越しの日、全治しているが退院しようとしない患者、阿里葉子が手伝いに来て、努に「私を病院から追い出さないで」と哀願した。努の病院勤務が始った。そして「きっと阿里葉子を好きになるでしょう」とナツキが予言した通り、謎めいた暗さを秘めた葉子に魅かれて行った。数日後、努は葉子から彼女が退院しない理由を聞き出した。彼女には婚約者がいたのだが、会社の男に暴行されたため、破談となり、彼女は自殺を企てた。そして、一度は退院したのだが、また自殺しようとしたのだった。ある日、買物に出かけた葉子から電話が入った。駅前が火事で帰れなくなったというのだ。努はオートバイで葉子を迎えに行き、彼女を乗せたまま山下公園まで来た。そして努は半ば強引にキスした。病院の中で努と葉子との仲が噂にのぼるようになった。院長は葉子を呼んだ。葉子は複雑な表情で院長を見上げた。努は休日に葉子をドライブに誘い、湖のホテルで葉子を求めた。「私には愛される資格はありません」と抗う葉子だったが、やがて二人は体を重ねた。病院に事件が起こった。アル中で入院していた竹下が病院を抜け出し、車に轢かれて死んだのだ。死体を見た院長の眼から涙が流れた。そして努に竹下との関係を静かに語った。院長と竹下は、かって満州で細菌戦略部隊に所属し、あらゆる残虐な人体実験を繰り返し、敗戦後、竹下は過去を忘れるためにアルコールに溺れたのだった。和親会病院の経営はとうとう行き詰まり、院長は退陣し、新しい経営者の手に渡った。努は院長と共に退職した。努は葉子を連れて院長に会い、彼女との結婚を報告した。院長は葉子が妊娠している事を聞き、その子供は自分の子である、と言いかけたが、努は自分の子である、と言いきった。数日後、北海道から、努の兄、一郎が上京して来た。努にとって一郎は、あまりにも大きな存在であり、努の半生は一郎が敷いたレールの上をただ走ったに過ぎなかった。一郎は結婚に猛反対した。だが26歳になった今日、努は初めて兄に逆らった。一郎は説得をあきらめた。葉子はそんな努に男の強さを感じた。数日後、努は新しい勤務地である東北の診療所へ、愛車に葉子を乗せて、国道を驀進させていった。

作品データ

製作年 1976年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 96
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スタッフ

製作 中川完治島津清
原作 五木寛之
脚本 石森史郎
監督 斎藤耕一
撮影 坂本典隆
音楽 青山八郎
美術 芳野尹孝
録音 平松時夫
照明 津吹正
スチール 赤井博且
編集 杉原よ志
助監督 仲倉重郎

キャスト

竜野努 中村雅俊
阿里葉子 五十嵐淳子
唐木道子 岡田茉莉子
高見沢順造 佐分利信
高見沢ナツキ 原田美枝子
竹下晋助 岡田英次
朝田 米倉斉加年
武田婦長 本山可久子
高橋医師 御木本伸介
じれっ亭ママ 緋多景子
看護婦こずえ 宮井えりな
薬剤師 西尾三枝子
看護士石金 須賀不二男
竜野一郎 石原裕次郎
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2020/7/15更新
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