てんびんの詩|MOVIE WALKER PRESS
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てんびんの詩

1988年3月15日公開,88分
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商人の家に生まれた少年が行商を経て、商いの心を知るまでを描く。脚本は竹本幸之祐が執筆。監督は梅津明次郎、撮影は斎藤定次がそれぞれ担当。16ミリ。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

国際的にも名の知られた経営者・近藤大作は、あるときテレビ局の取材を受けて自分の少年時代を語った。近江商人の家に生まれた彼は小学校を卒業した日に父から呼ばれ、祝いの言葉と共に鍋蓋の包みをもらった。大作にはその意味がよくわからなかったが、「明日からこの鍋蓋を行商し、もし売れなかったら商家の跡継ぎにはできない」ということだった。大作はまず家に出入りをする大工や植木屋のところを訪ねた。初めのうちは世話になっている商家の息子ということで大事にされるが、鍋蓋の行商とわかると冷たくあしらわれた。親の威光をカサにきた押し売りのような商いがうまく行くはずもなかった。知り合いの大人たちは行商が修行であることを知っているのでなおさら義理で買うようなこともしない。大作は今度は見知らぬ人の家を回ってみたが、ほとんど口さえ聞いてもらえない。彼はやがて親を恨み、買わない人々を憎んだ。父や母が彼以上に辛い思いで、見守っているのが大作にはわからないのだ。時には甲賀売薬の行商に習ってもみ手の卑屈な演技をしたり、乞食娘の真似をして農家の老夫婦を泣き落としにかかったりもしたが、嘘はすぐにばれてしまう。心ない商いは人々の反感を買うだけだった。何日経っても一つの鍋蓋も売れない大作の目にはいつしか涙がたまっていた。ある日大作は農家の井戸の洗場に鍋蓋を見つけ、「この鍋蓋がなくなったら人は困って買ってくれるかもしれない」と思ったが、すぐに考えを改めた。そしてこの鍋蓋も自分のように苦労して人が売った物と思うと、無心に洗い始めた。その鍋蓋の持ち主である農家の女は初めて怪訝そうな顔をしていたが、大作の気持ちを知って鍋蓋を一つ買ってくれた。さらにまた近所の人たちにも声をかけてくれたのである。おかげで大作の鍋蓋は売り切れ、彼は「売る者と買う者の心が通わなければ物は売れない」という商いの神髄を知るのだった。大作は父もしたようにてんびん捧に“大正13年6月某日”と鍋蓋の売れた日付を書き込み、父や母の待つ家へと帰った。

作品データ

製作年
1988年
製作国
日本
配給
ジャパンホームビデオ
上映時間
88分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.0
  • 上海十月

    3
    2007/2/13

    会社の研修が滋賀県でしたので、このビデオを見させられました。最初のうちは、研修と言うことで嫌な物見せるなあ、という程度のものでしたが、内容は、何と「鍋のぶた行商」聞いたこともない話しでした。物を安易に売るなと言う戒めとLOVE商売が一杯つまったお話です。最期は、感動の大団円で無事終了。近江商人のよく言う三方良し(売り方良し、買い方良し、世間良し)を基調に描ききります。実際は、そうは上手くいくわけもありませんし、またその他の地域の人には、恨まれるでしょう。ですから近江商人の後にはぺんぺん草も生えないと揶揄されてます。三方良しは、実際かなり難しい。滋賀の人に聞くとこの話は有名で、戦前は、ずいぶんあったそうです。近江八幡商業から多くの有名な経営者を輩出していることからも証明されているのでしょう。社会人になる前の方、新入社員の方には、お勧めでしょう。映画としては、?感じですが。

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