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大正・昭和の高知を舞台に、女衒一家の波瀾にとんだ事件の数々と、妻と夫の別離を描く。宮尾登美子の同名小説を「北の螢」の高田宏治が脚本化。監督も同作の五社英雄、撮影も同作の森田富士郎がそれぞれ担当。

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大正3年、初夏の高知。縁町界隈で芸妓・娼妓紹介業を商う富田岩伍は商用で大阪・神戸をまわって、旅の途中で拾った少女・菊を連れて帰ってきた。富田の家には岩伍と喜和の間に病弱な長男・竜太郎、きかん坊の次男・健太郎の息子があり、それに番頭格の庄、女中の鶴、若い衆の米と亀がいる。金使いの荒い岩伍のせいで、人知れず貧乏所帯をきりまわす喜和に、またひとつ菊の養育という苦労が重なった。ある日、喜和は岩伍に命じられるまま、赤貧にあえぐ裏長屋の巻に米を届けた。折悪しくそこは赤痢騒ぎ、しかも巻の無残な死骸を見た喜和は不覚にも気を失って倒れた。死んだ巻の娘・豊美を芸事修業のため、岩伍が大貞楼にあずけたのは、それから間もなくのことだった。そして大正15年5月。菊は19歳の美しい娘に成長していた。大貞楼にあずけられた豊美は名も染勇と改め、高知一の芸者になっていた。健太郎、竜太郎も19歳、17歳とそれぞれ成長していたが、喜和の心痛は竜太郎の病弱、健太郎の放蕩だった。この頃、岩伍は40歳中ばの男ざかり、豊栄座に招いた娘義太夫の巴吉と肉体関係をもっていた。かねてより女衒という恥かき稼業を嫌っていた喜和はそのことが原因で実家である小笠原家に戻っていたがそこに大貞楼の女将、大貞が訪れ、とりなしを計った。巴吉と岩伍は別れさせるが二人の間にできた子供は喜和が育てるべきだ、と。喜和はあまりの理不尽さに身体がふるえた。喜和が緑町の家に帰ってから間もなく、岩伍と対立する谷川一家の賭場で刃傷沙汰を起こし、弟をかばった竜太郎が多量の血を吐いて息を引き取った。そして一方、岩伍の子を産み落とした巴吉は高知を去り、綾子と名付けられた赤ん坊の育事は喜和の仕事となった。昭和11年5月。綾子は11歳の愛くるしい少女に成長したが、喜和は病いに倒れた。手術の末、奇跡的に命はとりとめたものの、髪を次第に失っていく悲運に見まわれた。岩伍は今では大成し、朝倉町に移っていたがそこに照という女を住まわせていた。ある日、今は父親の仕事を手伝っている健太郎は岩伍の意向で喜和に隠居を命じた。喜和は綾子を連れて実家に身を寄せたが、追い打つように岩伍からの離縁話、そして綾子を返せという達し。今では綾子だけが生きがいとなっている喜和はこれを拒否、岩伍の殴打が容赦なく飛ぶ。そのとき綾子が出刃包丁で岩伍に斬りかかった。こんな骨肉の争いがあって間もなく、喜和は大貞の意見を入れ、身を切られるような気持ちで綾子を岩伍のもとに返す決心をした。別れの日、橋のたもとで喜和は綾子が岩伍の家に入るまで見送った。喜和はひとり、岩伍の家に背を向けた。

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作品データ

原題 Kai
製作年 1985年
製作国 日本
配給 東映
上映時間 134
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スタッフ

監督 五社英雄
原作 宮尾登美子
脚本 高田宏治
企画 日下部五朗奈村協遠藤武志
撮影 森田富士郎
音楽 佐藤勝
美術 西岡善信
編集 市田勇
録音 荒川輝彦
スチール 渋谷典子
助監督 長岡鉦司
照明 増田悦章

キャスト

富田岩伍 緒形拳
富田喜和 十朱幸代
染勇 名取裕子
石原真理子
竜太郎 井上純一
健太郎 田中隆三
綾子 高橋かおり
大貞 草笛光子
豊竹巴吉 真行寺君枝
小笠原楠喜 ハナ肇
里江 園佳也子
松井照 白都真理
森山大蔵 島田正吾
左とん平
谷川文造 成田三樹夫
木元武造 片桐竜次
松崎 成瀬正
竹市 島田紳助
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