渥美清
車寅次郎
寅さんが旅公演の途中失踪した演歌歌手と知り合い恋をするシリーズ第三十一作。マドンナに都はるみを迎え、脚本は「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」の山田洋次と朝間義隆の共同執筆、監督も同作の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。
※結末の記載を含むものもあります。
久しぶりにとらやに戻った車寅次郎は、甥の満男の運動会のことでとらやの面々と言い争いをし、またふらりと旅に出た。寅次郎がやって来たのは新潟の田舎町で、佐渡ヶ島へ向う途中一人の女性と出会う。彼女は演歌の女王、京はるみであった。それとは気づかぬ寅次郎は、毎度御馴染みの一目惚れで気に入ってしまう。その頃、はるみのプロダクションでは彼女の失踪で大騒ぎとなっていた。当のはるみは、そんな騒動は知らず寅次郎と意気投合し、二人で旅をしている。一人旅の毎日であった寅次郎にとって、女性が道連れという事は夢の様な話であり、はるみにとっても、これ程、自由で楽しい旅が出来るのは素晴らしいことだった。ある日、寅次郎は、はるみがかの演歌の女王、京はるみであることを知る。そこにプロダクションの者たちがやって来、はるみは思い出にと寅次郎に指輪を渡し二人は別れた。寅次郎はとらやに帰って来たものの、放心状態でいつもの元気がまるで無い。そんな時、はるみがとらやに寅次郎を訪ねて来た。とらやは大騒ぎとなり周囲は黒山の人だかりとなる。はるみは寅次郎に今度行うリサイタルの招待券を渡し、失恋した相手ともう一度やり直すことになったと告げた。ガックリと肩を落とす寅次郎。集った人々の要望ではるみは歌い出した。その日の夜、寅次郎は妹のさくらに、はるみから貰ったリサイタルの切符を渡し旅に出る。そして、京はるみショーの行なわれている頃、寅次郎は北海道で夏を過ごしていた。
車寅次郎
さくら
京はるみ
竜造
つね
博
社長
源公
満男
御前様
北村社長
三田
吉岡
富子
庄司久子
チンドン屋
その妻
漁船の船長
吾作の老婆
警備員
記者
食堂の親爺
社長の秘書
熊吉
製作
製作
企画
原作、脚本、監督
脚本
撮影
音楽
美術
録音
録音
照明
スチール
編集
助監督
[c]キネマ旬報社
都はるみが、ほとんどそのまま歌手「京はるみ」として出ている本作品は、まさしく、「ローマの休日』ならぬ『佐渡の休日』です。かなり、シーン撮りにも意識しています。
とらやに京はるみが尋ねてきて歌うシーンは感動的。しかし、寅さんは、そのような有名やそうでないという価値観を持たない。だからこそ、京はるみが寅さんと心を通じることができるのでしょう。
京はるみのリサイタルで寅さんのことを紹介するシーンには涙。
寅さんが博の家から出ていく時、さくらに「見送らなくていいぜ。」と言って去っていくのにも涙。