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投稿レビュー(1件)伊賀忍法帖は星2つ

斉藤光正監督の演出力が問われてしまう作品 (投稿日:2009年12月19日)

 山田風太郎の原作は基本的に奇想天外な発想に基づいて、かなりエロチックな描写もあって、出鱈目に見えるのですが、正確無比な時代考証ゆえに愛読しています。「伊賀忍法帖」の時代設定は永禄5年春~天正5年10月10日(1562~1577)と設定されていますが、100分の時間内で原作を消化させる為にはかなり強引な展開などがあり残念です。登場人物たちも原作よりかなり削減されています。映画の出来栄えは同じ山田風太郎原作の「魔界転生」を映像化した深作欣二監督作品と比較すれば、遥かに劣ってしまい拍手には程遠いのですが、奈良東大寺の大仏殿を炎上させてしまうシーンは迫力満点です。何せ大仏の頭が切断されてしまい「インディー・ジョーンズ」のように転がってしまうところは大爆笑してしまいます。

 主人公の笛吹城太郎を演じるのは真田広之であり、初代服部半蔵の甥と言うキャラクター設定です。真田広之は千葉真一の薫陶もあり運動神経は抜群。よって剣術と格闘技を合わせたアクションシーンがこの映画の魅力です。但し、原作とは違って城太郎が使う忍術は忍法無息の術と言う何分間も息を止め敵に気配を感じさせないものだけに限定されていて、山田風太郎の原作ファンとしては消化不良気味になってしまいます。もう一つの魅力は深作欣二監督の「柳生一族の陰謀」の烏丸少将文麿役で圧倒的な存在感を見せ付けた、妖術師・果心居士に扮した成田三樹夫の怪演と言って良いでしょう。角川春樹全盛期の豪華キャストも魅力十分です。戦国時代下剋上の機運に乗じようとする松永弾正(中尾彬)が自分の主である、三好義興(松橋登)の側室・右京太夫(渡辺典子)に横恋慕。彼女を自分のものにすることによって天下も手中に収めることが出来ると言う一挙両得の悪だくみは悪魔の化身である果心居士と松永弾正の心に巣食う悪を描いて面白い筈なのですが、右京太夫が松永弾正に対して愛情を感じてしまう媚薬を実験するシーンに豊満な中年女をキャスティングして笑いを取ろうとした演出に笑える女性がどれ程いるでしょうか、男の私でさえもブラックユーモアに嫌悪感を覚えました。さらに媚薬製造のためには処女である篝火(渡辺典子)(※デビュー作で何と「生娘」「良妻」「悪女」の一人三役も見ものです)をレイプして、その哀しみの涙をエキスにするという設定なのですが、ここでは心は篝火でも肉体は漁火(美保純)と言う悪女なので、映像的にも女優の魅力でもワンランク劣ってしまっています。羅刹坊(千鳥)役の(風祭ゆき)の全裸も痩せぎすが目立ってしまい安っぽいポルノ映画を見せられているようです。

 原作での根来七天狗も映画では登場人物の制限もあって五人にされていますが、怪力無双の大男・①金剛坊(ストロング小林)の肩に乗った②水呪坊(佐藤蛾次郎)が、敵対者を窒息死させる嘔吐物を吐き掛ける忍法月水面はなかなか面白いのです。③破軍坊(浜田晃)、④虚空坊(福本清三)、前出の⑤羅刹坊の各々の忍術は原作七人の忍術をそれぞれで分けて使っていますが、忍法鎌がえしと言う鎌をブーメランのように操る技術に疑問ありです。ブーメランは目標物にヒットしたら元の所に戻ってこない筈なのではと思ってしまうのです。最後に勝つのは悪魔か正義か、エンディングに賛否が分かれると思いますが、斉藤光正監督の演出力が問われてしまう作品であることに異を称える人は少ないでしょう。…メッセージを頂戴した「ema」さんをはじめユーザーの皆様、walkerから「日記」も「メッセージ機能」もなくなるのが残念ですが、足跡を残しておいて頂ければ、レビューでもお便り出来ますので、walkerを続けて頂けることを望んでいます。

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投稿:晴耕雨読

評価:2
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