現金に手を出すな|MOVIE WALKER PRESS
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現金に手を出すな

1955年3月6日公開
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「肉体の冠」のジャック・ベッケルが一九五四年に監督したパリ下町映画。アルベール・シモナンの小説から、シモナン、「幸福の設計」のモーリス・グリッフ、ベッケルの三人が脚色した。撮影は「妄執の影」のピエール・モンタゼル、音楽は「巴里の空の下セーヌは流れる」のジャン・ヴィーネ。「愛情の瞬間」のジャン・ギャバン、「お尋ね者」のルネ・ダリー、「巴里の気まぐれ娘」のジャンヌ・モロー、「情婦マノン」のドラ・ドル、リノ・ボリニらが出演する。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

パリの裏町にマクス(ジャン・ギャバン)とリトン(ルネ・ダリー)の、仲のよい遊び人が住んでいた。二人はオルリ飛行場に運びこまれる五千万フランの金塊に目をつけその強奪に成功した。そしてほとぼりのさめるまで隠しておき、いずれ現金にかえるつもりだった。ところが、リトンがある日ナイトクラブの女ジョジ(ジャンヌ・モロー)にうっかり金塊のことを口走ってしまった。ジョジは麻薬密売のボス、アンジェロの情婦だったのでマクスとリトンが金塊強奪犯人であることが筒抜けになってしまった。アンジェロは早速二人を捕えて金塊の隠し場所をつき止めようとしたが、マクスは逆にアンジェロの動向を探って彼の企みを知った。翌朝、マクスはリトンを足止めして臓品故買商の伯父を訪れ、金塊の処置をつけようとした。その留守中、リトンはジョジへ報復に行き、アンジェロ一味にひどい目にあわされて拉致された。マクスは必死になってリトンの行方を探すが判らない。そこヘアンジェロから、五千万フランと引換えにリトンを渡すという電話がかかって来た。金か友情か迷った挙句、マクスはリトンを救う決心をした。マクスは金塊を車に積みこんで指定の場所に赴いた。リトンと引換えに金塊を受けとったアンジェロはその場で二人を射殺しようとし、烈しい車上の射撃戦が始まった。そしてアンジェロの車は火を発して一命を失った。金塊はふたたびマクスの手に戻ったが、相棒のリトンは重傷、警官隊は刻々迫って来る。金か友情か、またしても迷ったマクスは、結局友情にひかれリトンを連れ、金塊を捨てて逃げのびた。しかし重傷のリトンはついに絶命してしまった。

作品データ

原題
Touchez pas au Grisbi
製作年
1954年
製作国
フランス イタリア
配給
外国映画=映配

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.8
  • 銀さん

    5
    2009/4/26

    晩年の永井荷風は、若かりしころ遊んだフランス懐かしさに浅草の映画館でフランス映画を見まくった。映画にはそれぞれのお国柄が見られるが、ギャバンのギャング映画(フィルムノアールという範疇)は、たとえばJ・ギャグニー主演のアメリカものとは又違った味わいがある。

    フランスでも、地下室で拷問したり、マシンガンぶっ放したり手榴弾放り投げたりするのだけども。

    一番の印象的なのが、ギャバン演じるマックスがルネ・ダリーの仲間と、フランスパンにペースト状のチーズをつけたのを肴に、ワインを飲むところ。二人で金塊を狙う連中のことを話しながら、男同士でぼそぼそと食事をする、ただそれだけのシーンなのに、思わず明日フランスパンにチーズのっけて食べてみようという気になってしまう。

    折角のギャバンの渋さも、J・モローの美しさも、どこかに消えてしまうのだが、さすが美食の国フランスと、変に感心してしまう。

    食もそうだが、そこかしこに小道具から端役にまで巴里の香りがする。何とも悲しい表情のギャバンの大写しで終わるラストまで、今、自身は行ったこともない異国の町に紛れ込んだ気分にさせてくれます。

    そんな気にさせてくれたギャバンもそうだけど、監督J・ベッケルの職人芸に感謝。そして、改めて荷風散人の気持ちが分かるような気がします。

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