夜と霧|MOVIE WALKER PRESS
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夜と霧

1961年10月20日公開,32分
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ポーランドのワルシャワ近郊にあるアウシュヴィッツ強制収容所を描いた記録映画。第二次大戦中ナチがここでおこなった残虐の数々が、廃墟となった現在のアウシュヴィッツを描いたカラー・フィルムと往時を再現するモノクローム・フィルムの対比によって描き出される。監督は「二十四時間の情事」のアラン・レネ。詩人ジャン・ケイロルが解説台本を執筆している。撮影を担当しているのはギスラン・クロケとサッシャ・ヴィエルニーの二人。音楽を受けもっているのはハンス・アイスラー。製作はエドゥアール・ムシカ。部分イーストマンカラー・スタンダードサイズ。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

※本作はドキュメンタリーのためストーリーはありません。

作品データ

原題
Nuit et Brouillard
製作年
1955年
製作国
フランス
配給
日本ヘラルド映画
上映時間
32分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.8
  • 晴耕雨読

    5
    2009/5/22

     アウシュビッツのユダヤ人強制収容所を体験した「夜と霧」原作者のV・E・フランクルは、収容所では単に頑強な人より、精神性に高い生活生活をしてきた人が生き延びたと指摘しているが、20世紀後半に紛争が起きたボスニアヘルツェゴビナの“サラエボ旅行案内記”にもユーモアや知性や労働は本来、抑制を受ける種類のものだが、人々にとっては生き延びるための何かだったとある。

     アウシュビッツの衝撃を全世界に知らしめた最も重要な映画といえば、アラン・レネ監督のドキュメンタリー映画「夜と霧」と言えるだろう。アウシュビッツの夜は霧に覆われている。そしてこの映画も霧から始まる。題名の「夜と霧」はアウシュビッツに収容された精神医学者フランクルの収容所日記の題名が「夜と霧」だが、1941年にフランスで出された政令のことを指し、この政令によってフランス国内のユダヤ人たちが強制労働収容所や絶滅収容所に送り込まれた。

     映画は声高にナチスドイツの犯罪行為を糾弾してはいない。脚本は詩的でさえあり、ナレーションは静か。映像も影絵のようで、霧に包まれたアウシュビッツの塀のパンニングから始まり、記録写真に残ったアウシュビッツの出来事が淡々とモノクロで映し出されていく…それは、骨と皮だけになった死体の山、シャワールームに残った爪の後、髪の毛で編まれた絨毯、脂肪で製造された石鹸…まるで脳の奥底に沈殿した記憶を甦らせるように、古傷を白日の下に暴き出すのがレネ監督の演出法。突き刺すようなモノクロフィルムによる衝撃的場面とクロスカッティングさせるようにカラーフィルムによって撮影された収容所の外観をゆっくりと追うカメラワークが見事。…「夜と霧」の衝撃は、その後多くのドキュメンタリーの亜流作品を生んで行った。

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