死刑台のエレベーター(1957)|MOVIE WALKER PRESS
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死刑台のエレベーター(1957)

1958年9月26日公開,88分
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二五歳の仏映画界の新人監督ルイ・マルが、推理作家ノエル・カレフの原作を、自身と新進作家ロジェ・ニミエの共同で脚色、ニミエが台詞を書いた新感覚スリラー映画。キャメラは新人アンリ・ドカエ。巻頭から巻末までを十曲のモダーン・ジャズで通した音楽はトランペット奏者で作曲家のマイルス・デイヴィスで『メイン・タイトル』『エレベーターの中のジュリアン』『夜警の巡回』等と名づけられた十曲が演奏される。種々の新しい試みによってこの作品は一九五七年ルイ・デリュック賞を得た。「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」に主演したフランソワ・ルテリエが第二助監をつとめている。出演者は「宿命」のモーリス・ロネ、「現金に手を出すな」のジャンヌ・モロー、「素直な悪女」のジョルジュ・プージュリー、「親分」のフェリックス・マルタン、「夜の放蕩者」のリノ・ヴァンチュラ、「悲しみよこんにちは」のエルガ・アンデルセン等。製作イレーネ・ルリシュ。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

未開地開拓会社の技師ジュリアン・タベルニエ(モーリス・ロネ)と社長夫人フロランス・カララ(ジャンヌ・モロー)は愛し合っていた。二人の自由を阻む邪魔者シモン社長を亡きものにせんと、二人は完全犯罪を計画していた。殺害計画実行の日が来た。ジュリアンは拳銃をポケットにしのばせ、バルコニーから手すりに錨つきのロープをかけて上り、社長室に入り、社長を射殺し、その手に拳銃を握らせた。彼は再び手すりから一階下の自分の部屋におり、何くわぬ顔をして、彼を待っていた電話交換手とビルの管理人と共に、エレベーターでおり、外に出た。しかし手すりに錨つきロープを忘れて来たことに気付き、ビルにかけこみ、エレベーターに乗り、上りはじめたが急に階の途中でエレベーターは止まってしまった。ビルの管理人が電源スイッチを切って帰ってしまったのだ。ジュリアンは何とか脱出せんと試みたが無駄だった。フロランスとの約束の時間はどんどん過ぎていった。彼を待つフロランスは段々と不安にかられ、彼を求めて夜のパリをさがしまわった。一方、花屋の売り子ベロニック(Y・ベルダン)とチンピラのルイ(ジョルジュ・プージュリー)はジュリアンの車を盗んで郊外に走り出た。車の中にはレインコート、小型カメラ、拳銃があった。前を走るスポーツ・カーについて、或るモーテルに着いた彼等は、ジュリアン・タベルニエ夫婦と偽り、そのスポーツ・カーの持主であるドイツ人夫婦と知り合いになった。ドイツ人夫婦の小パーテーに招かれ、いたずらにジュリアンの小型カメラで写真を撮った後、ルイと共にドイツ人夫婦の部屋を出たベロニックは、モーテルの現像屋へフィルムをとどけ、自分達も部屋に帰った。そのころ、なおジュリアンを探し求めていたフロランスは、夜の女と共に警察に連行された。同じ頃、ジュリアンは尚も脱出せんとしたが万策つき、やむなく朝を待つことにした。一方モーテルのベッドで寝ていたルイとベロニックは夜明けを待たずに起き、ドイツ人のスポーツカーを盗んで逃げようとして見付かり、ルイははずみで彼等を射殺してしまった。アパートに逃げ帰った二人は、今更のように殺したことが怖くなり催眠剤を飲み心中をはかった。ドイツ人夫婦殺しは、宿帳に記載されていたジュリアン・タベルニエ夫婦と云う名と、現場にあった車と拳銃で、犯人はジュリアン・タベルニエと推定された。警察に連れて行かれたフロランスは身分を明し、釈放されたがその時、警部から、ジュリアンが若い娘と共にドイツ人を殺し、逃亡したと云うことを聞いた。朝、エレベーターが動き出し、やっと外へ出られたジュリアンを待っていたのは、身に覚えのない殺人容疑で、彼を捕えんとする警察の手であった。ドイツ人殺しのアリバイを立証する為には、完全犯罪として計算してやった社長殺しが露呈しかねない。警察は、社長は自殺であると思いこんで、専らドイツ人殺しの自供を求めた。一方フロランスはジュリアンが昨夜、車に乗せていた若い娘は花屋の売り子であろうと、彼女の部屋にのりこんだ。催眠剤を飲んだ若い二人は死んではいなかった。フロランスはドイツ人殺しの嫌疑をジュリアンからはらす為、彼等のことを警察に知らせた。その間に部屋を出たルイは、唯一つの彼等の証拠品であるフィルムをとりに、モーテルへと駆け付けた。しかしルイは写真屋の暗室で逮捕された。ドイツ人と共に撮した写真が全てを証明していたのだ。ルイを追って来たフロランスも、社長殺しの共犯として逮捕された。即ち、ジュリアンと共に撮した親しげな写真が彼等の関係を物語っていたのだった。

作品データ

原題
Ascenseur pour L'echafaud
製作年
1957年
製作国
フランス
配給
映配
上映時間
88分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.8
  • McCOY

    4
    2019/11/1

    エレベーターより前にロープだったっていう。

    ジャンヌ・モローのものすごさをこれでもかと認識させられる作品でした。マイルスのトランペットをバックに夜の街を歩いてるだけで観る者の目を釘付けにする。

    設定含め、あの時代でなければ成り立たない作品だと思います。でも、リメイクしたくなる気持ちはとってもよくわかります(笑)。



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  • らぴすらずり

    5
    2010/11/25

    リメイク版をみて、オリジナルが気になってみてきました。感想はこちらのブログに書いてあります。
    http://ameblo.jp/lapis-lazuli2008/entry-10709242020.html

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  • やまひで

    4
    2008/3/27

     この時29歳のJ. モローの、容赦ないアップで始まるこの映画は、同様のアップで終わる。最初の場面では、モローは、夫殺し直前の熱い電話で情人のM. ロネとの会話に熱中している。それは、プライベートな空間ではなく、公衆電話のボックス内であり、そうありながらもモローは外の世界と隔絶した世界に生きている。一方、ラストシーンのモローは、その夫殺しの犯罪が警察にバレて、自分が10年以上の懲役を受けるであろうと刑事に言われ、出所した暁には恐らくは情人のロネからは捨てられて、自分は年老いているであろうことを想像して呆然としている。「老醜」という言葉がフランス語にあるとすれば、その言葉がモローの眼前に大きく書かれていることであろう。
     さて、このモローの顔をよく観察してみよう。見る角度にもよるのであるが、少々はれぼったい目の、目尻が若干下がっている。口角もこれに対応するか如くに少し下がり気味である。こんなところから、モローの顔を見たあの印象が生まれてくるのであろうか。何か反抗的な、どこかに意地の悪さを秘めたようなあの印象。この印象がモローに女優としての特別の存在感を与えているように僕には思える。前年にR. ヴァディム監督の『可愛い悪魔』で、おフランス版M. モンローとして有名となるB. バルドーは、あの上品とは言えない口元が象徴するように「肉体化したセックス・アピール」であり、その意味でバルドーの顔の背後には如何なる知性のかけらも感じられない。モロー、バルドーよりは一世代遅れて登場するC. ドヌーヴはどうだろう。ほとんど人工的な美形と言えるドヌーヴも、まるでバービー人形に魔法でも掛けて手足が動くようにしたのではないかとも思われるが、その「人工性」が上手く役柄にマッチすることがある。L. ブニュエル監督の『昼顔』(1967年作)では、恐らくその不感症から来るのであろう、コール・ガールとして自らの満たされないエロスを満足させようとするある美人妻が登場してくるが、この時ほどドヌーヴの人形的美形が適切に役柄にはまっていたものもないであろう。こう考えると、如何にモローが女優として特異であるかが納得できる。であるから、この女優にF. トリュフォーが1967年に復讐にとり憑かれた女の物語り『黒衣の花嫁』を捧げているのも当然と言えば当然のことであろうか。
     完全密室殺人は一旦成功するかに見えたが、ロネの小さな不注意から、破綻し出す。さらに、ドジなことにロネは殺人の行われた会社のエレベーターに閉じ込められ、モローと30分後に例のキャフェで会おうという約束を図らずも違えてしまう。慌ててキーを付けたまま置いていたロネの車は、ある若いカップルに乗っ取られ、これが又事態を、何と言う運命の皮肉であろうか、あってはならぬ方向へと展開させる。一方、若い娘が乗ったロネの車を待ち合わせのキャフェに行く途中で目撃したモローは、その意外さに驚く。待ち合わせのキャフェで来ぬ人を待ちながら、一抹の不安がモローの胸を刺していた。「あのジュリアンが、つい30分前まで電話で愛を誓い、その愛のために殺人まで犯すと約束した、あのジュリアンがあの花屋の売り子と一緒に車で出かけて、私との約束のキャフェには来ない。」この不安に衝かれてモローは、一夜をかけて夜のパリを夢遊病者の如く徘徊しながら行方不明の情人を探して歩くのであった。M. デイヴィスのクールな都会的ジャズに伴われながら、街のネオンに照らし出されたり、暗がりに沈みこんだりするモローの姿がフィルムに秀逸に収められて、洗練されたフィルム・ノワール的世界をL. マルは見事に現出させている。この夜のパリのシーンでもって、この映画の穴だらけの完全犯罪のプロットを償って余りあるものとするべきである。

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