バラキ|MOVIE WALKER PRESS
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バラキ

1972年12月9日公開,129分

マフィアの一員、ジョゼフ・バラキによって語られた“影の政府”の正体を克明に描いたピーター・マーズのベスト・セラーの映画化。製作はディノ・デ・ラウレンティス、監督は「レッド・サン」のテレンス・ヤング、脚本はスティーブン・ゲラー、撮影はアルド・トンティ、音楽はリズ・オルトラーニ、編集はジョニー・ドワイヤー、美術はマリオ・カルブリアが各々担当。出演はチャールズ・ブロンソン、リノ・ヴァンチュラ、ジル・アイアランド、アンジェロ・インファンティ、フレッド・バレカ、ジョゼフ・ワイズマン、ワルター・キアーリ、アメディオ・ナザーリ、ファウスト・トッツィ、サビーヌ・スンなど。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

一九六二年六月二十二日。ジョージア州アトランタの連邦刑務所。ジョゼフ・バラキ(C・ブロンソン)は同房の囚人を鉄パイプで殴り殺した。バラキの驚ろくべき告白が始まる序章であった。その日以前から、彼は刑務所内で命を狙われていることに気づいており、看守に独房に入れてくれるよう頼んだが無駄だった。同じ刑務所にいるビート・ジェノベーゼ(L・バンチュラ)に話せば判ってもらえると考えた彼は、ジェノベーゼに会ったが、その結果、彼はさらに恐怖のどん底につき落された。ジェノベーゼ自身の指令によって、彼は命を狙われていたのだ。しかし、その日バラキが殺した男は誰とも関係ない人間だった。彼は自責の念と、彼のボスであり、絶対の権力者であるジェノベーゼに対する復讐の念から、彼が所属していた組織“コーザ・ノストラ”の秘密を係官ライアンに話し始めた。一九〇四年、ハーレムで生まれたバラキは不良少年としてシンシン刑務所にぶち込まれ、そこでトニー・ベンダーとドミニク・ペトリリ(W・キャリ)と知りあい、ファミリーの一つマランツァーノ(J・ワイズマン)一家の一員となった。マランツァーノは、当時ニューヨーク暗黒街最大のボスであるジョー・マッセリア(A・スペリ)に対抗して勢力争いをしている最中だった。この抗争が“カステラマレーゼ戦争”と呼ばれ、バラキの働きは認められた。これによって彼はもっと大きな組織へ入れることになり、ガエタノ・レイナ(A・ナザーリ)と血の誓いを行い“兄弟”となった。しかしレイナはすぐ殺され、その葬儀の席上、ルチアーノとマランツァーノは後日、話し合いの席を持つ約束をした。数日後、ルチアーノの招待によってレストランに現れたマッセリアは、彼の部下によって殺された。平和が戻った。マランツァーノは全国からボスたちを集めて、“コーザ・ノストラ”の組織をととのえた。ニューヨークは五大ファミリーに分れ、ルチアーノはその一つのボスになった。マランツァナーノは全米二四ファミリーの上に立つ大統領で、バラキはその親衛隊に属し、ジェノベーゼはルチアーノのアンダーボスだった。しかし、二、三カ月すると再び緊張が起こった。マランツァーノとルチアーノが反目しだしたのだ。一九三一年九月十日。マランツァーノは警官を装った四人の男にナイフで刺され、死亡した。バラキは身の危険を感じレイナの未亡人にかくまってもらい、かねてより好意を抱いていた娘マリア(J・アイアランド)と結婚することになった。バラキはやがてジェノベーゼの部下となり、スロット・マシン二〇台分の権利をもらった。数年を経て、ルチアーノが売春容疑で逮捕され三〇年の刑でイタリアに追放された。その後、ジェノベーゼがボスになったものの、戦いが激しくなるにつれ、身の危険を感じた彼もイタリアに逃れた。一九四六年、アメリカに戻ったジェノベーゼは組織の立ち直しをはかり、今まで権力を握っていたアルバート・アナスタジア(F・トッツィ)を始めとする邪魔者を次々に殺し、再び最高のボスの地位を築いた。今ではレストランの経営者として幸福な家庭を持つバラキも、この権力争いにまき込まれ、麻薬に手をだすようになった。そして取引きの最中、捕われた。ジェノベーゼも麻薬大量所持で逮捕された。一九六〇年のことだった。トニー・ベンダー(F・バレカ)の陰謀だったが、、ジェノベーゼはバラキも仲間だと思い込み二万ドルの賞金をかけて刑務所内のバラキを狙ったのだ。一九六三年、上院審問委員会は、組織犯罪史上、最も重要な証人ジョゼフ・バラキの証言を聞いたが、委員たちは自分たちの売名のために、彼に時代錯誤的な“ギャング物語”を求めた。再び独房に戻ったバラキはへ仲間を裏切った自責の念と、彼が信用したアメリカなる組織が全く駄目なものであることに絶望し、自殺を図った。FBIのライアンに発見され、彼は一命をとりとめた。ジョゼフ・バラキは、ジェノベーゼの死後まで、完全警備の独房の中で生きた。逃亡をふせぐためではなく、中に入り込めないようになっている独房の中で--。

作品データ

原題
Valachi
製作年
1972年
製作国
イタリア=アメリカ
配給
ヘラルド
上映時間
129分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.0
  • フジ三太郎

    3
    2018/1/9

    午後ローでやってたのを録画視聴。
    デジタルハイビジョンでリマスタリングされ、画質は良好。はじめてTVで観た数十年前に比べて、セリフがややおとなしくなっていたが、迫力十分。
    アナスタシア暗殺直前の、逃亡中のイタリアから戻ったジェノベーゼのセリフ「組織が大きくなり過ぎた。皆勝手に動いている。これでは組織は潰れる。」は、普通の会社組織にも当てはまると感心。
    個人的には、昨年の弁護士がボクサーに○○○を切られた一件で、本作を思い出し、録画視聴。ジェノベーゼの嫁を寝取ったバラキの同僚がそういう目に遭い、○○で行く様は凄惨です。東映やくざ映画にも似た場面があったような気が。

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  • 銀さん

    4
    2010/9/12

    コッポラの「ゴッドファーザー」に触発された実録のマフィア映画です。我が国の「仁義なき戦い」にも影響を与えました。
    C・ブロンソンとR・バンチュラの二大名優が文字通りの男の戦いを繰り広げます。個人的にはバンチュラの迫力には圧倒されます。いまどき、こんなパワーを持った俳優が居るのだろうか。J・デップや、L・デイカプリオではスケールが小さく線が細い。渡辺謙を二回りも三回りもでかくしたらいいのかな。それでも、まだ足らぬ。巨大な肉食獣のような
    バンチュラには、惚れてしまいます。
    それだけに美しすぎるほどのメインテーマが際立ちます。全編マシンガンを打ち合ったり、ボスのマランツアーノ殺害のような、凄惨な血まみれシーンに溢れていますが、T・ヤング監督の職人芸で骨太の
    傑作となっています。

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  • 晴耕雨読

    5
    2009/6/27

     「007」シリーズの初期の名作を監督したテレンス・ヤングとイタリアの大プロデューサーであるディノ・デ・ラウレンティスがタッグを組んだマフィア映画の傑作です。映画は1962年に刑務所内でおきた勘違い殺人事件からスタートしています。バラキを演じたのは、当事イタリアやフランス、日本で人気絶頂だったチャールズ・ブロンソンであり、マフィアのドン、ヴィトー・ジェノベーゼ役はフランスのフィル・ムノワールの名優リノ・ヴァンチュラです。肉体表現の出来る脂の乗り切った男優二人の存在感は素晴らしく、この点だけでも一見の価値があります。深作欣二監督の「仁義なき戦い」第一部では伊吹吾郎扮するやくざが刺客によって床屋で殺害されるシーンがありますが、これは「バラキ」でのアルバート・アナスタシア殺害事件を真似たものだと思います。アナスタシアはマーダーインク(殺人会社)のボスでしたが、虎視眈々とドンの座を狙っていたジェノベーゼがカルロ・ガンビーノの配下に命令したものでした。

     映画「ゴッドファーザー」でも描かれていた、マフィア・ナショナル・コミッションでの麻薬の扱いを禁じた取り決めは当事既に有名無実化しており、末端のマフィオーソ(マフィア構成員)にとって掟の番人である筈のドンの掟破りは、上層部への畏怖と尊敬が根底から瓦解していく衝撃的な事実だったのです。刑務所に収監されていたジェノベーゼと同じアトランタ刑務所にジェノベーゼファンミリーの中堅マフィオーソ、バラキが懲役で入所してきますが、これが、マフィア社会を大きく衰退させていく一里塚になりました。この1950年代のシークエンスは刑務所内の人間関係をこじんまりと描いているだけなのでチョッと退屈ですが、1930年代の過去に戻って数々の犯罪シーンを描写するアクションシーンは「007」監督の本領発揮の凄まじさです。クラシックカーのカーチェイス、トンプスンM1921・ドラムマガジン付きサブマシンガン(別名、ミートチョッパー、シカゴピアノ、タイプライターと呼ばれ、ドラムマガジンには100連発の弾丸をロード出来た)を中心とした銃撃シーン、肉体を使ったナイフでの格闘シーンは今でも色褪せない迫力があります。

     バラキの証言は、当事の司法長官ロバート・ケネディの肝煎りで制定されたマフィア撲滅のための新法に貢献し、マフィア社会のオメルタの掟を抹消させることになりました。JFKはアメリカ合衆国大統領になるために一時期マフィアの力を借りました。しかし、大統領に就任してからはマフィアへの司法介入を強めたケネディ兄弟は二人共に凶弾に倒れてしまいます。…バラキ証言はJFK暗殺の後ロバート暗殺の年にマフィアの息の根を止める組織犯罪法(通称RICO法)となって結実するのですが、政治家が自分の命を賭けても実行しなければならない仕事があることを痛感させられた映画です。

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