バルタザールどこへ行く|MOVIE WALKER PRESS
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バルタザールどこへ行く

1970年5月2日公開,95分

バルタザールと名付けられた一匹のロバを主人公に、人間の本能と罪悪を追求した作品。監督・脚本・脚色・台詞は「ジャンヌ・ダルク裁判」のロベール・ブレッソン。撮影はギスラン・クロケ、美術はピエール・シャルボニエがそれぞれ担当。音楽はフランツ・シューベルト、ジャン・ヴィーネ。出演者は、ブレッソン作品の例にもれず、すべて素人で、「中国女」のアンヌ・ヴィアゼムスキーはこの作品でデビュー。他にフランソワ・ラファルジュ、フィリップ・アスラン、ナタリー・ジョワィヨー、ヴァルテル・グレェン。一九六六年ベネチア映画祭審査員特別賞受賞。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

ピレネーのある農場の息子ジャック(W・グレェン)と教師の娘マリー(A・ヴィアゼムスキー)は、ある日一匹の生れたばかりのロバを拾って来て、バルタザールと名付けた。それから十年の歳月が流れ、いまや牧場をまかされている教師とマリーのもとへ、バルタザールがやって来た。久しぶりの再会に喜んだマリーは、その日からバルタザールに夢中になってしまった。これに嫉妬したパン屋の息子ジェラール(F・ラフアルジュ)を長とする不良グループは、ことあるごとに、バルタザールに残酷な仕打ちを加えるのだった。その頃、マリーの父親と牧場王との間に訴訟問題がもち上り、十年ぶりにジャックが戻って来た。しかし、マリーの心は、ジャックから離れていた。訴訟はこじれ、バルタザールはジェラールの家へ譲渡された。バルタザールの身を案じて訪れて来たマリーは、ジェラールに誘惑されてしまった。その現場をバルタザールはじっとみつめていた。その日から、マリーは彼等の仲間に入り、バルタザールから遠のいて行ってしまった。もめていた訴訟に、マリーの父親は、敗れたが、ジャックは問題の善処を約束、マリーに求婚した。心動かされたマリーは、すぐにジェラールたちに話をつけに行ったが、仲間四人に暴行されてしまった。その日から、マリーの姿は村から消え、父親は落胆のあまり、死んでしまった。一方バルタザールは、ジェラールの密輸の手仕いをさせられていた。しかし、ピレネー山中で税関員にみつかりバルタザールは逃げおくれ、数発の弾丸をうけてしまった。翌湖、ピレネーの山かげを朝日が染めるころ、心やさしい羊の群の中に身を横たえ、バルタザールは静かに息をひきとるのだった。

作品データ

原題
Au Hasard Balthazar
映倫区分
G
製作年
1964年
製作国
スウェーデン=フランス
配給
ATG
上映時間
95分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.7
  • たっかん

    5
    2016/2/6

    ロベール・ブレッソン監督作品だから観たのだが、まさかロバを中心にして物語が成立しているとは思わなかった。
    意外ではあったが、ロバの一生を通じて、関わった人間たちの「業」を描いた崇高な映画であった。

    ジャックとマリーという子供たちがロバを引き取って、バルタザールと呼ぶところから始まる物語は、すぐに「数年後」となり、この時間遷移の簡潔さがブレッソン監督らしい。

    ロバは、農耕に使われて大量の藁などを運ばされたりするが、その後、人を乗せる乗り物になったり、サーカスの見世物になったり、商人にこき使われたり、泥棒の盗品運びをさせられたり、と様々な事が降りかかる。
    ロバ中心に見ると、これらの事象などが描かれているように見えるが、実はそれを強いる人間側の罪深さや慈悲などを描いた人間ドラマになっているあたりが見事であった。

    なかなか観る機会が少ない映画であるが、観ようと思えば少しの頑張りで観ることが出来るブレッソン監督作品の傑作である。

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