海辺のポーリーヌ|MOVIE WALKER PRESS
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海辺のポーリーヌ

1985年6月22日公開,94分

夏のノルマンディーの海辺を舞台に、15歳の少女ポーリーヌが体験する数日間の恋愛騒動を描く。製作はマルガレット・メネゴス、監督・脚本は“Le Beau Mariage”等のエリック・ロメールでこれが彼の日本初公開作品にあたる。撮影はネストール・アルメンドロス、音楽はジャン・ルイ・ヴァレロ、編集はセシル・ドキュジスが担当。出演はアマンダ・ラングレ、アリエル・ドンバールなど。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

ノルマンディーの避暑地の夏。15歳のポーリーヌ(アマンダ・ラングレ)は、年長の従姉マリオン(アリエル・ドンバール)とともに、夏の終わりのひとときを海辺の別荘で過ごそうとやって来た。ファッション・デザイナーで、離婚の経験もあるマリオンに早速、恋の話をきくポーリーヌ。海辺に出かけた二人は、昔マリオンのボーイフレンドだったピエール(パスカル・グレゴリー)に出会った。彼は純情な好青年だが、いまだに学生を続け、そしていまだにマリオンに恋していた。ピエールの知りあいで南の島の民族学者というふれこみのアンリ(フェオドール・アトキン)を、ピエールはマリオンたちに紹介した。その夜、アンリの別荘で過ごすことになった四人は、めいめい恋愛について語った。情熱的な恋愛に憧れるマリオンは、その日のうちにアンリに恋してしまい、朝まで二人で過ごすことになる。翌日、海辺でウィンド・サーフィンに興じる少年シルヴァン(シモン・ド・ラ・ブロス)と知り合いになったポーリーヌはアンリの別荘でいっしょに踊り、二人の仲は接近する。一方、プレイボーイのアンリは、マリオンが自分に夢中になっているのを知りながら、キャンディ売りの娘ルイゼット(ロゼット)を部屋に誘ったりしていた。マリオンがいないのをさいわい、ルイゼットと部屋で戯れている姿をピエールが目撃。戻って来たマリオンに、アンリは、ルイゼットと部屋にいたのはシルヴァンだと嘘をつく。ピエールが、目撃したことをマリオンに言っても彼女は信じない。シルヴァンに欺かれたと信じ悲しむポーリーヌを慰めるマリオン。パリに用事ができたマリオンは、一時別荘を離れるが、急いで戻ってくると、アンリはスペインへ旅立ってしまっていた。ショックを受けるマリオン。パリに引き上げることにしたポーリーヌとマリオンは、複雑な気持ちで別荘を後にするのだった。

作品データ

原題
Pauline a la Plage
製作年
1983年
製作国
フランス
配給
フランス映画社
上映時間
94分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.6
  • やまひで

    4
    2007/11/6

     映像的にはテレビ映画的で、映像構成からも何も取り得がない作品であるが、そこはシネアストのロメール、会話で勝負。しかも、ストーリーは日常性から採った、考えてみれば平凡なもの、これで映画一本撮るという、映画芸術のアヴァンギャルド、ロメールの本領がよく出ている作品だ。
     話すことと行動の不一致、儒教で言う言行一致の反対を、ポリーヌの年上のいとこ、マリオンはやらかす。マリオンこそ、この不徳の典型で、15歳のポリーヌはそれを夏のヴァカンスの時期も終わりのノルマンディーで体験する。ロメールはポリーヌの目を通じて大人の世界の「矛盾」を暴きだす。それに比べれば、アンリの論理は確かに対人関係では非倫理的ではあるが、自分の不道徳な行動に関して言えば、論理に筋を通している。この点で、アンリはお人よしのピエールよりは悪の魅力があるとも言えよう。だから、ポリーヌはアンリの借りているバンガローで一晩泊まる訳でもある。少し年上のシルヴァンとの幼い恋愛ごっこと裏切り、アンリに翻弄されるマリオンの間抜けぶり、人はいいが男としての魅力が薄いピエールとの関わり、危険な男アンリからのエロテックな誘惑と、ヴァカンスの数日で、まだうぶ子だったポリーヌは、一つ「大人」となってパリに帰っていくのであった。
     新人Amanda Langletの、無邪気そうでいて、人の裏側を見抜きそうな眼差しの鋭さが印象的である。

     ところで、1996年のロメールの作品「夏物語」(フランス語の直訳では「夏のコント」)は、この作品の姉妹品である。二十歳代の半ばになったLanglet・マルゴーは、今度はブリュターニュ地方にあるおばの経営するレストランにアルバイトに来る。彼女はもう女子学生で、民族学を勉強していて、どうもボーイフレンドがいるらしい。一方、もう一人の主人公ガスパールは数学を勉強して、数学の教員になる就職先が決まっている。ブルターニュには、彼自称の恋人のレナとある近くの島に行こうと約束していて、それでこの海辺の避暑地にやってきたのであった。ギターを抱え、レナのために歌を作る純情なガスパール。マルゴーとガスパールは、ガスパールがマルゴーがアルバイトをしているレストランに来たことで顔見知りになる。偶然に海辺の砂浜で会話を交わし、それからよく一緒に海辺を散歩しながら、何くれとはなく延々と話し合う二人。ロメールのお得意の場面である。さて、ガスパールは、これまた偶然にソレーヌという地元の、かなり気の強い情熱的な女の子とも知り合い、意気投合し、レナに捧げる筈であった自作の歌をソレーヌに献上し、彼女と例の島に行こうと提案する。そうこうしているうちに、それまで音沙汰の無かったレナとも偶然に海岸で出会い、ガスパールは、自分がやはりこの気位の高いお姫様然とした女の子が好きだと思う。しかし、気まぐれ屋のレナにふられて、ガスパールは、今度は何でも話せるマルゴーと例の島に行こうと誘う。すると、レナからガスパールに電話が入り、やはり彼女も島に行きたいと言う。こうして、三人の女性と同じ島に行こうと約束してしまったガスパールは、進退窮まってある決心をするのである…… 何故にこの恋愛喜劇の傑作がキネマ旬報のデータ・ベースに入っていないのか、極めて遺憾である。

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