マンハント(1941)|MOVIE WALKER PRESS
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マンハント(1941)

1995年1月28日公開,106分
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ヒトラーに銃を向けたハンターと、彼を狩り出そうとするゲシュタポの追跡を描いた本格サスペンスの一編。本作のあと「死刑執行人もまた死す」「恐怖省」「外套と短剣」と続く、フリッツ・ラング監督のナチスものの最初の作品。従来のアメリカ映画にないナチスのリアルなイメージを米国の大衆に与え、以後のプロパガンダ映画のあり方に大きな影響を与えた。原作はジョフリー・ハウスホールドの小説『Rogue Male』で、「男の敵」「駅馬車(1939)」などジョン・フォード作品でお馴染みのダドリー・ニコルズが脚色。監督は当初、そのフォードが予定されていたが彼が難色を示したため、36年に渡米後、「暗黒街の弾痕」「西部魂(1941)」などを撮っていたフリッツ・ラングが当たった。スタッフには、撮影に「わが谷は緑なりき」のアーサー・ミラー、音楽を同作のアルフレッド・ニューマンが手掛けるといった具合に当代の名匠が担当。主演はこの作品で評価され、先述の「わが谷は緑なりき」や「ミニヴァー夫人」に起用された名優ウォルター・ピジョン。対するは本作以外でもナチスの将校役を何度か演じた、「イヴの総て」で知られる悪役俳優ジョージ・サンダース。また紅一点として、本作を契機に「飾窓の女」『Scarlet Street』「扉の影の秘密」と以後も3本のラング作品でヒロインを務めるジョーン・ベネットをはじめ、ナチスの追跡者役で怪演を見せる、「駅馬車(1939)」の他ホラー作品への出演で知られるジョン・キャラダイン、さらに後年「ヘルハウス」などホラー作品でも名を挙げる子役時代のロディ・マクドウォールなど個性的な役者が脇を固める。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

第二次大戦開戦直前のドイツ。世界的なハンターとして知られるソーンダイク大尉(ウォルター・ピジョン)は、深い森を忍んである別荘に近づき、バルコニーに現れた人影にライフル銃の照準を合わせた。標的は何とヒトラーだった。大尉にとっては照準器に獲物を捉えれば獲物を仕留めたのと同じことで、厳重な警備に刺激されたゲームに過ぎなかった。だがドイツ側は当然そうは受け取らず、警備兵に見つかった彼は連行される。ゲシュタポの担当官キーヴ=スミス(ジョージ・サンダース)は、大尉が英国政府の命令で暗殺を敢行したという供述書にサインするよう迫る。ドイツは大尉の名声を利用し宣戦布告の材料にしようとしたが、彼は断固として拒む。大尉は事故に見せかけて崖から突き落とされたが奇跡的に助かり、大がかりな捜索網を縫って港にたどり着く。彼は停泊中のイギリス行きのオランダ船に忍び込み、少年船員ヴァナー(ロディ・マクドウォール)に助けられる。大尉に逃げられたキーヴ=スミスは、その船に不気味な男ジョーンズ(ジョン・キャラダイン)を乗船させた。大尉がロンドンに上陸すると、ゲシュタポの配下の男たちが行動を開始した。彼は追われるうちに、とあるアパートのジェリーという女(ジョーン・ベネット)の部屋に隠れた。大尉はジェリーと共に、兄のリスボロウ卿の屋敷に向かう。卿の元へは既にドイツ大使やキーヴ=スミスの探りが入っており、ドイツからは引き渡し要求が出ていた。大尉はジェリーと屋敷を去り、追手をまきながらロンドンの街を逃げ回る。そのさなか、ジェリーが帽子のピンバッチを落とし、彼は彼女が選んだ矢の形をした新しいものを買ってプレゼントする。地下鉄に逃げ込んだ大尉は、トンネル奥深くまで追ってきたジョーンズと格闘の末、彼を感電死させた。新聞は地下鉄殺人を書き立て、大尉は警察からも追われる羽目に。彼はジェリーに、3週間後、ドーセットの郵便局に手紙を出してほしいと兄への伝言を託した。約束の時が来て、郵便局に現れた大尉は様子がおかしいのに気づき、手紙を掴んで洞窟の隠れ家に逃げ帰る。手紙はキーヴ=スミスからのもので「これは本物の狩りだ」とあった。間もなく、キーヴ=スミスが現れてジェリーの帽子を差し出し、彼女が拷問で殺されたことを告げた。彼は大尉に降伏を迫る。大尉は彼女の帽子に付いていた、あのピンバッチと木の枝を利用して弓矢を作り、キーヴ=スミスを倒した。――しばらく後。戦争が始まり、ドイツ攻撃を志願した大尉は、単身パラシュ-トで敵地に降下した。今度は本当にヒトラーを撃つために。

作品データ

原題
Man Hunt
製作年
1941年
製作国
アメリカ
配給
ケイブルホーグ
上映時間
106分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.3
  • たっかん

    5
    2016/7/24

    いやぁ、とっても怖いフリッツ・ラング監督作品だった。
    ドキドキしっぱなし。。。

    第二次世界大戦の直前、ドイツにて、崖の上からヒトラーを高性能銃で標的合わせた男がいた。しかし、弾は込められていなかった。
    だが、次の瞬間、弾を込めて、再度ヒトラー照準合わせたところで憲兵に見つかって、暗殺未遂に終わる。
    逮捕されて、「イギリスという国に指示されて暗殺しようとした」という嘘の証言書に署名を拒んでリンチに合う。
    なんとか逃げて、ロンドン行きの船に隠れて上陸したが、次々と追手が来る。
    ある女性のアパートに逃げ込んで、女性に信じてもらって、一旦は自分の豪邸に帰るが、また追われる。女性は、男を好きになる。
    そんな男や女は、追手から逃れられるのか……という終始ドキドキさせられる物語と映像だった。

    しかし、偶然、昨日観たエルンスト・ルビッチ監督作品『生きるべきか死ぬべきか』も第二次世界大戦直前のワルシャワ侵攻の頃が舞台であったが、この作品も同じ頃を描いている。不思議な感じである。

    フリッツ・ラング監督、素晴らしい。

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  • まこと

    3
    2013/5/25

    早稲田松竹でフリッツ・ラングの特集上映
    併映は『死刑執行人もまた死す』です

    『死刑執行人もまた死す』は傑作だと思いますが…本作は似たようなテーマながら、何とも退屈ですねw

    今回、ラング作品を4本観て、それぞれに作風を変えてくる幅の広さには驚かされますが、どの作品にも共通していたのが、ドラマの中でうまく人間の内面を描いている所だと思います
    しかし、本作においては…どうも脚本が面白くなく、他の3作品に感じたような面白さをまったく感じません

    原作があるようなので、脚本化がうまく行かなかったのかもしれませんが…ただストーリーを追い掛けているだけで、他の作品に見られるような、人間の内面をえぐる鋭さを感じません
    たかが4本(懐かしの『メトロポリス』を合わせても5本)観ただけでラングを語る気はありませんがw、僕が今まで観た作品の中では、一番、平凡に感じました

    確認した所、ラングのナチスものの最初の作品みたいです
    これも制作年は1941年と戦時中ですので、やはりプロパガンダ的な意味があるのでしょうかね
    当時のアメリカ人やイギリス人が観れば、これでも十分な恐怖感を覚えるのかもしれませんが…やはり、今観てもな…という感はありますね

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