トゥームストーンのレビュー・感想・ネタバレ・評価|MOVIE WALKER PRESS
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トゥームストーンのレビュー・感想・ネタバレ・評価

1994年5月28日公開

ユーザーレビュー

3.4
  • 晴耕雨読

    4
    2009/5/25

     1879年に南北戦争が終結したことによりアメリカの経済活動は爆発的に発展を遂げていきます。しかし、高度経済成長に伴い犯罪も飛躍的に増加して、当時の殺人発生件数は現代のNYやLAを遙かに上回っていたそうです。舞台は銀鉱山による好景気に沸くトゥームストーンです。

     映画はアメリカの組織犯罪の萌芽として“カウボーイズ”を取り上げており、当時の警察力の脆弱さを描いています。ならず者たちは保安官を脅迫し、神父の言葉に耳を傾けることもありません。自分たちの欲望の赴くままに人を殺害し、物品を強奪し、女性をレイプします。ここで、聖書の黙示録の言葉が引用され、それが伏線となっています。それは、“青褪めた馬を見よ、それに乗る者は死、後に地獄が従う。”

     客車・貨物車を同時連結した蒸気機関車が勇壮に登場して、馬を乱暴に扱う係員をワイアット・アープが叱責します。アメリカ伝説の英雄、ワイアット・アープが登場する見事なシーンです。興味深いのは、本作品ではアープの奥さんがアヘンを常用していることであり、このアヘンは後の映画「ワイアット・アープ」でも出てきますが、麻薬に悩むアメリカの現代の背景を映しているようです。

     そして、お馴染みの悪徳郡保安官ビーハンが登場しますが、ビーハンの服装は東部風であり「大いなる西部」のグレゴリー・ペックを真似ていますが、勿論、中身はペックに遠く及びません。ビーハンは郡保安官でありながら、反中国人連盟会長の他にも税金徴収役、消防隊隊長、不動産委員会委員という日本にも存在する田舎の名士という厭な奴の人物設定。

     本作品では、賭博場の利益から25%を徴収するワイアット・アープの人間臭いところも描いていてアープの見方も多角的視野で観察出来ますが、ドク・ホリデイを単なる無頼漢としては扱っていません。粗野な男たちが徘徊する劇場では、“ヘンリー五世”や“ファウストの悪魔の取引”等が行われているのですが、粗野な無法者たちは、理解出来ない演劇に対して罵声を浴びせたり、中には発砲する輩すら出る始末。アープとホリデイはこれを傍観していますが、これも伏線となっているのです。それは、演劇を鑑賞した後にドクは酒場のピアノで“ショパンのノクターン”を弾くのですが、前出のギャングたちはカントリーウエスタンを弾けないのかと脅迫するシーンに活きているのです。西部での男と女の比率は1対50であり、LADYを探すのは至難の業。持たざる者のストレスは暴力となって暴発する。

     雷鳴轟くトゥームストーンの町の描写は数々のワイアット・アープ映画の中でも抜きん出た迫力であり、その事件の解決方法として、ワイアット・アープが取った行動は彼自身の私的復讐か犯罪者への懲罰かは観客の判断に委ねられます。

     コロラド州グレンウッド療養所にドクを見舞うワイアット・アープのシーンは本作品でも秀逸な時間となります。ドクのセリフ“普通の人生は無い、人生は波乱があるのさ”に自分の人生を振り替えさせる気持にさせられます。そして、ワイアットが去った後で、ドクはベッドの中から一冊の本を取り出すのです。その本は(※ネタバレ注意報)…名画「善き人のためのソナタ」を彷彿とさせます。

     エンドロールではブルース・ブロートンの勇壮な音楽と共に決闘に向かう4人を再度描いていますので、途中退席する人はいなかったでしょうが、主演俳優たちの名前だけが記載され、役名は省かれて流れる中にあって、最後の最後に現れる…AND チャールトン・ヘストン AS HENRY・HOOKER に大変感動しました。

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