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作品レビュー(1件)雲南の少女 ルオマの初恋は星4つ

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瑞々しい佳作 (投稿日:2007/7/7)

タイトルを見ての通り、地方の村を舞台に十七歳の少女の初恋を描くストーリーは、「初恋のきた道」以来ひさびさの瑞々しさを感じさせてくれた。展開は一見ありふれているが、延々と連なる棚田の風景は日差しによってその趣きを変え、主人公の心情を映し出すようだ。

ハニ族の主人公ルオマが暮らす山村は、中国南部の雲南省元陽県にある。この地方は古くから少数民族の手によって拓かれ守られてきた棚田で知られ、現在世界遺産に申請中である。近年、自然と調和する風景として棚田が注目される風潮もあり、おそらくその知名度アップに向けての狙いもこの映画にはあるのだろう。

観光客の目には棚田の風景はどこか懐かしい原風景、あるいは夢のような別世界として映り、少数民族の伝統衣装や生活習慣は物珍しくもある。しかしそこに暮らす者たちにとっては見慣れた日常風景であり、傾斜地での野良仕事はやはり重労働。出稼ぎから戻った若い女性の台詞がルオマの心を揺らす。村の共同作業から得られる充実感、暮らしを良くしたいという思い、都会への憧れなどが、他愛のない会話から伝わってくる。観光ガイド的な即席の見せ方でなしに、あたかもジャーナリストのような視点もこの映画にはある。

印象に残る場面がいくつもあるが、ここでは一つ挙げる。ルオマがカメラマンのアミンに貸してもらった音楽プレイヤーのイヤホンを挿して棚田を眺めるとき、その美しさに初めて気付いたような表情になる。ここで流れるのはアイルランドの歌姫エンヤ。(帰宅後に曲名を調べると、「カリビアン・ブルー」だった。)

外の世界への憧れとして、「エレベーターに乗ってみたい」というのは何とも素朴な願いに思えるが、上り下りの苦労と切り離せない村の生活を考えれば自然な発想に違いない。ちなみに棚田は中国語で「梯田」、エレベーターは「電梯」という。ちょっとした言葉遊びのような設定になっている。この他にも、階段や梯子、あぜ道から落ちる場面など、劇中上下の動きが多用されることに気が付く。

ルオマが都会から来た男性に憧れ一緒に観光客相手の商売を始めるのは、おばあさんにしてみればやはり心配。村の昔ながらの生き方とはなかなか相容れないものでもあろう。地方の経済振興と、民族の伝統文化維持とをどう両立させるか、そんな裏テーマもさりげなく織り込まれている。【70点】»ガイドライン違反報告

投稿:いわし

評価:4
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