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投稿レビュー(1件)クー嶺街少年殺人事件は星5つ

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映画史上屈指の“青春映画” (投稿日:2011/2/18)

処女作『海辺の一日』から、遺作となった『ヤンヤン夏の思い出』に至るまで、ほぼ一貫して現代の台北を描いてきた楊徳昌のフィルモグラフィーの中で、例外的に過去――1960年代――の台北を舞台にした作品がこの『クー嶺街少年殺人事件』だ。同じ年に台湾に生まれ、共に現代を代表する映画作家であった侯孝賢の作品に多く見られるのが(とりわけ初期作品から『戯夢人生』あたりまで)、田舎の風景であるのに対し、楊徳昌の作品で描かれるのは、主に都会に住む若い男女の刹那や孤独である(『恋愛時代』『カップルズ』)。だから、この作品で登場する田園風景は楊徳昌のフィルモグラフィーの中では、極めて例外的であると言えるかもしれない。しかし、その風景には侯孝賢の初期作品で描かれた田園にあった、牧歌性は希薄である。いや、田園風景に限らず、楊徳昌が『クー嶺街少年殺人事件』で創出する空間は、全編にわたってひりつくような緊張感に覆われている。そう、もしかしたらその要因を、侯孝賢の代表作である『非情城市』で描かれた時代(1945年~49年)に生を授かった子供たちによる親世代の模倣――『非情城市』の変奏的反復ととらえることができるかもしれない。だが、ラスト近く――あまりに切なく痛ましいクライマックス――で起こる、少年による殺人事件の場面を観るたびに評者は、この映画から伝わってくる、稀有な緊張感、切なさ、寂莫感、孤独感等を、ある歴史的背景や時代性が生んだものというよりは、映画史に存在する幾つかの青春映画の傑作と相通じる体験として捉えてしまう。そしてそれは、えもいわれぬ素晴らしい映画体験であるのと同時に、映画評論家・江戸木純が言うように「『クー嶺街少年殺人事件』は、すべての良い映画がそうであるように、それを観た者に深く消えない心の傷を刻むことを強いる」「この心の傷もまた他人と共有はできない。そうなのだ。良い映画を見るということはとても孤独で、とても辛いことなのだ」(プログラムより)ということを思い知るのである。そう、『クー嶺街少年殺人事件』は、1990年代屈指の傑作であり、同時に、観る者の心に大きな傷痕を刻むことになる作品なのだ。»ガイドライン違反報告

投稿:ブルーインブルー

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