映画-Movie Walker > 作品を探す > 美女と野獣(1946)

詩人ジャン・コクトーがシネマへその触手を伸ばして来るであろうことは当然考えられていたことだが、どんなジャンルにその触手を伸ばしてもコクトーでなければならない功績を残している彼がシネマの世界へ何をもらたすか、これが最も興味深い所であった。これまでに彼がシネマに関係した作品は四本あるが、第四作の「美女と野獣」では台本だけでなく演出までやっている。題材は十八世紀のありふれたおとぎばなしであり、彼自身巻頭タイトルに自筆で「世界は今あらゆるものを破壊し去ろうと熱中しているが、おとぎばなしが天国へ寝そべったまま連れて行ってくれたあの少年時代の信頼感と素直さとを取りもどしたい」という意味のことを述べてはいるが、何事も一筋なわでは行かぬコクトーのことである。この映画で彼が何を描写しようとしたか、これを探し出すことは誠に津々たる興味をそそるものである。美術のクリスチャン・ベラアル、作曲のジョルジュ・オーリックその他一流のスタッフの一丸となって創り出した交響詩的なニュアンスは旧来の映画にはなかった香気を充満させている。主演のジャン・マレーはコクトーに見出された新しい二枚目で日本では初めての顔。なおこの映画は1946年フランス映画コンクールの授賞作品で巴里ラ・マドレエヌ劇場で三ヶ月の長期興行に成功している。

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昔、年老いた商人がいた。末娘のベルは美しく優しい娘で、いつも意地悪の二人の姉にいじめられていた。彼女は腕白な兄の友達アヴナンから求婚されていたが、父の世話をするために拒んでいた。父は自分の船が沈んだので破産を覚悟していたが、その一せきが無事入港したと聞いて喜んだ。二人の姉は宝石や衣しょうをお土産にねだったが、ベルは唯バラの花が欲しいといった。父が港に着いてみると船は債権者に押収されてしまい止むなく夜道を馬に乗って帰って来る途中、何時の間にか道を踏み迷ってこれまで見たことも聞いたこともない荒れ果てた古城に行き当った。人影もなく静まり返った場内の異様な恐しさに逃げ出して庭に出るとそこには香しいバラの花が咲き誇っていた。ベルのことを想い出してその花を一輪手折った時、突如眼前に一個の怪物が現われて立ちふさがった。形は人間だが全身に毛がそそり立ち、物すごい形相をして彼をにらんでいる。野獣はこの古城の主であった。大切なバラを盗んだ罰に命をもらうといったが、もし娘の一人を身代りによこせば一命を助けてやると約束し父を魔法の馬に乗せて帰した。ベルはこの話を聞いて責任を感じ父の生命を助けるために白馬に乗って単身野獣の居城へおもむいた。野獣は醜怪なその容ぼうにもかかわらず優しく堂々たる言葉で毎夜七時に食事の時だけ会いたい。そして「私の妻になっておくれ」と問います、といったがベルは「いやです」と答えた。美女と野獣の生活はこうして始まったが、ベルは次第に野獣のやさしい心に幸福な自分を見出すようになって来た。会いたい人の顔をみられる魔法の鏡でベルが父の顔を見ると、父は心労のため病床にふし、家財はみんな差押えられていた。父想いのベルは野獣に一週間の約束で家へ帰ることとなり、野獣は信頼の形として宝庫ダイアナ亭の金の鍵と、何処にでも行ける手袋を与え、一週間経って帰って来なければ自分は心労のために死ぬであろうというベルが家に帰ると父は急に元気になったが、二人の姉妹のせん望と、ベルを思うアヴナンの野望とが一緒になってベルの金のかぎを奪い、兄とアヴナンは野獣を退治して宝物を奪う計画を樹てた。ベルのお迎えにに来た白馬に乗って城に着いた兄とアヴナンはまづダイア亭の宝物をねらった。一方、ベルは魔法の鏡で野獣をみるとベルを慕う余り苦もんする野獣の姿を見出して、直ちに魔法の手袋をはめて野獣のもとへ行くと彼は正にもん絶せんとするところであった。アヴナンは亭の屋根を破り、中へ潜入しようとした途端、傍に立っていた彫像ダイアナがその手にもつ弓をやをら持ち上げて放った矢に、背を射抜かれ、突如野獣に変身してしまった。あたかもその時ベルの介抱にもかかわらずついにもん絶したと思った野獣の姿はかき消すように消えて、こつ然と輝くばかりの美しい王子が現われた、それはアヴナンによく似た王子だった。王子は長い間魔法使いのために野獣にされていたが、今、ベルの愛のひとみは元の姿に帰れたと語り、あなたは私の妃だといってベルを擁し、雲の上をはるか王子の城へと飛んでいった。

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作品データ

原題 LA BELLE ET LA BETE
製作年 1946年
製作国 フランス
上映時間 95
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『美女と野獣』(7作品)

美女と野獣
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美女と野獣(2014)
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美女と野獣 ディズニー デジタル 3D
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  • 美女と野獣(1991) (1992年9月23日公開)

    ギリシャ神話以来親しまれてきた、美女と野獣のロマンティックなラヴ・ストーリーをアニメ化した作品。

  • 美女と野獣(1975) (1978年11月13日公開)

    1945年にジャン・コクトーによって映画化されたルプランス・ド・ボオモン原作のメルヘン的物語の再映画化。

  • 美女と野獣(1946) (1948年1月27日公開)

    詩人ジャン・コクトーがシネマへその触手を伸ばして来るであろうことは当然考えられていたことだが、どんなジャンルにその触手を伸ばしてもコクトーでなければならない功績を残している彼がシネマの世界へ何をもらたすか、これが最も興味深い所であった。

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